[観劇]「考えろ、カラダ。感じろ、頭脳。」──シアタースポーツ™を初観戦!

インプロワークショップで何度かお世話になっている絹川友梨さんが監修する「シアタースポーツ™」公演があるということで、東京芸術劇場シアターイーストで「観戦」してきた。

今回観たのは、演劇の実技教育を行う5大学(桜美林・玉川・多摩美術・桐朋芸術短期・日芸)で構成される「東京演劇大学連盟」の共同制作

出ている人もスタッフも基本的にみんな演劇を学ぶ大学生だし、観客にも若い人が多く、その熱気に30代半ばの僕はちょっとたじろぎながら客席入りした。

シアタースポーツ™とは

シアタースポーツ™について、パンフレットには次のような説明が載っていた。

「即興演劇の父」キースジョンストン(Keith Johnvstone, 1933-)によって創始された「演劇」と「スポーツ」が融合したエンターテイメントで、現在30ヵ国以上で上演されています。チームに分かれた出演者たちが、お客様からいただいた「お題」をもとに、「その場」でお芝居を創ります。

上演された劇は、3人のジャッジによって点数がつけられて、最終的に得点が高かったチームが優勝です。最後まで展開の分からない、お客様と共に作り上げる客席一体型のエキサイティングなステージです。

™とあるように国際ライセンスが必要だったり、ルールや形式が定まったりしていて、まさに「スポーツ競技」のようなものみたいだ。

「お題をもとに」とあるとおり、客席に入ったらお題を書く紙を書いて出す。それを演じる人たちがくじ引きのようにひいて、そのお題に沿って劇が創られる。採用されたお客さんは快感だろう(僕のは残念ながら選ばれなかった)。

演劇×スポーツ

観て最初に感じたのは、たしかに「スポーツ」だな、ということ。ボクシングみたいに複数のラウンドがあるし、鐘はなるし、レフェリーはいるし、中央の舞台がリングのように見えてくる。

一方で、演じる人もスタッフもレフェリーも、お伽話のような出で立ち。ラウンドによっては、あるチームが演じている時に、他のチームも参入して世界を一緒に創るという、まさに「演劇」的な要素もある。単なる闘いではなく、「共同制作」なのが面白い

ラウンドは4つ。観客からのお題で短編を作る「1分間チャレンジ」から始まり、身体を使った「フィジカルチャレンジ」、変化・変容をテーマにした「トランスフォーメーションチャレンジ」を経て、最終ラウンドは「ドラマチックチャレンジ」で深みのあるドラマが展開される。

4チームがしのぎを削るのだけど、2ラウンド目からは、ジャッジ(プロの演劇人)による評価が低いチームから敗退していく。ただ、そこにあまり悲壮感はなく、その展開も含めてエンターテイメントとして観ている感じがした

たしかな基礎力と、未知に飛び込む勇気

観た感想は……とにかく見事だった。

即興でよくあそこまで世界を創れるなぁと感じ入った。何度も笑わされたし、涙まではいかないけど、なんだかちょっとジーンとするシーンがあったり、まるで映画を観ているようなシーンがあったり、あっという間の2時間だった。

今回僕が感じ入ったのは、2つ。

1つは、演劇を学ぶ学生さんたちの基礎力の高さだ。

即興で演じると、笑いが中心になり、時に荒唐無稽なお話になることもある。それなりに力がなければ「何それ」とお客さんがひいてしまうリスクもあるなか、安心して観ていられたのは、学生さんたちの基本的な演技力があったからだと思う。

台本があって、演出があって、何度も同じ稽古をするときよりも、その力の差は出やすいだろうと思う。

2つ目は、未知に飛び込む勇気と、そのチームワークだ。

僕はこれまで何回かワークショップでインプロの一端を体験しているからわかるのだけど、人前で台本がないなか即興で演じるというのは、恐ろしいことだ。アイデアが浮かばない、守りに入って話が進まない、集中して相手や周りを見なきゃならない、でも自然体で……など、普段台本をもとに演じるときとは違った恐怖や壁がある。

しかも即興で演じるときは、仲間への全幅の信頼が必要だ。喩えるなら、自分が崖から飛び降りたら、それでも仲間が必ず受け止めてくれる……みたいなことだろうか。

今回は5大学連合だから、たぶん最初はみんな「はじめまして」からスタートしている。そこから、目線や身体で息をそろえて、1つの世界を即興で創り上げるために恐怖や壁を一緒に乗り越える仲間になっていくのは並大抵のことではない。

そこまで学生さんの力と可能性を引き出したのは、絹川さんの力が大きかっただろう。

すごいのは役者だけじゃない!

僕が観た回は、3ラウンド目で「ライトボックス」という、即興で照明が創られ、それをもとに演者が世界を創るゲームがあったのだけど、この照明を創るのももちろん即興だった。

未知に飛び込むという点では、役者以外の人も同じなのだ。

「ライトボックス」で生まれた焼き芋屋さんの話は、気づいたら世代を超えた物語になっていて、ちょっと感動的だった。

また、こちらはプロの方もからんでいるが、MCの山田宏平さんがところどころにはさむ即興コメントは、学生さんに対するフォローもあり、当意即妙のツッコミありで素晴らしかったし、即興ミュージシャン磯村由紀子さん・柴崎仁志さんの創る音は、素敵な世界が立ち上がるのになくてはならないものだった。

即興劇を観よう、体験しよう

いま教育界隈では「インプロ」が盛り上がりつつある。けれど、どのくらいの人が、実際にワークショップに参加したり、ショーを観たりしているだろうか。

こんなに面白い世界が広がっているのに、教育の文脈だけでインプロを捉えてしまうのはもったいない!

もし関心のある教育関係者がいたら、ぜひ直接その世界に触れてみてほしい。

3 件のコメント

  • 懇意にしている役者さんが、asifという毎回劇中に即興を織り込んだ芝居をする劇団に入っています。
    9月27日からその劇団で上演した芝居を他の劇団で上演するようです。
    インプロが入りますので、ご都合が合うようでしたら、是非。
    ふらりび
    『一握の紲』
    (イチアクノキズナ)
    2017年9月27日(水)〜10月1日(日)
    阿佐ヶ谷シアターシャイン

    チケットご予約はこちら↓
    https://www.quartet-online.net/ticket/furaribi01?m=0fihjgj

    詳細↓
    https://gamp.ameblo.jp/asifshudanmurakami/entry-

  • モリッシー様、感想を書いてくださって、ありがとうございます。
    そしてご来場ありがとうございました。
    学生達にも見せますね。彼らの励みになることでしょう。
    絹川友梨

  • はじめまして!Vivenciaというワードで、検索していて、ブログを発見!
    拝見させていただきました。
    とても興味深いです。
    「未知に飛び込む勇気」正に、ヴィヴェンシアですね!活動ご活躍期待しています。

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